ナルコレプシーについてしらない10のこと

ジュリー・フリガレさんは、Project Sleepの社長兼 CEOです。2007年に、情動脱力発作を伴うナルコレプシーと診断されて以来、世界的なナルコレプシーの啓発者として活躍しています。

彼女の著作『Wide Awake and Dreaming: A Memoir of Narcolepsy』は、2013年のサンフランシスコ・ブックフェスティバルの伝記/自伝部門で第1位に選ばれました。

2014年の世界睡眠啓発週間に際して、ジュリーさんが発信した、ナルコレプシーについて知られていないことTOP10を、日本語に訳してご紹介します。

全文・原文は、ジュリーさんの個人サイト「julieflygare.com」をご覧ください。

※ゾン100風アイキャッチ画像
目次

10. 映画とは違う

ラットレース』『デュース・ビガロウ、激安ジゴロ!?』『ムーラン・ルージュ』などの映画には、ナルコレプシーのコミカルなキャラクターが登場します。会話の途中で眠ってしまうことは、現実でもあり得るかもしれませんが、典型的な日常体験ではありません。ナルコレプシーは単なる眠り病ではなく、他にも深刻な諸症状を伴います。笑い事ではありません。

「いきなり寝る」ことが、漫画でもアニメでも、ギャグの描写としてよく使われます。居眠りをくすくす笑われることもあります。急に寝ることが面白いという、世界的な共通認識があるようです。

9. ナルコレプシーは常に眠いわけではない

ナルコレプシーの人は、日中は睡魔と戦っている一方で、夜はよく眠れないことがあります。「夜間の睡眠障害」は、ナルコレプシーの主症状の一つです。

8. 情動で脱力する発作がある

笑い、驚き、怒りといった日常的な感情が、一時的な筋肉の麻痺(膝がガクガクする、頭が垂れる、地面に倒れて動けなくなる等)を引き起こすことがあります。これを情動脱力発作(カタプレキシー)といい、ナルコレプシー特有の怖い症状です。※すべてのナルコレプシー患者が情動脱力発作を伴うわけではありません。

7. 昼寝は羨ましがることではない

ナルコレプシーの人は、昼寝ができて「良い御身分」なのではなく、しんどい身体症状を体感しているのです。昼寝は不可避なのに、どの学校でも職場でも良い顔をされず、前もって時間を決めて臨むことも困難です。

6. 怖ろしい幻覚

目が覚めているのに体が動かせないという経験はありませんか?それは睡眠麻痺(金縛り)で、3人に1人は経験するものですが、ナルコレプシーではより頻繁に起こります。臨場感のある視覚、聴覚、触覚などの幻覚を伴うこともあります。まるで「生ける悪夢」です。

5. 医者もナルコレプシーを知らない

最近の調査によると、総合診療医の91%、睡眠専門医の58%が、ナルコレプシーの診断に自信がないと答えました。五大症状すべて挙げることができた人は、睡眠専門医でも22%しかいませんでした。その結果、ナルコレプシーと診断されるまで3年から25年もかかるのです。 誤診には、てんかん、うつ病、統合失調症などがあります。

ナルコレプシーの五大症状とは、①情動脱力発作(カタプレキシー)、②入眠時幻覚、③日中の過度の眠気、④睡眠麻痺、⑤睡眠の断片化です。頭文字をとってCHESSと覚えましょう。

4. 眠いからといって眠そうに見えるとは限らない

ナルコレプシーの眠気は、多動、過敏、不機嫌、注意欠陥、ぼんやり感、記憶障害などの形で現れることがあります。これらの行動や認知の変化はよくあることなんですが、私たちが考える眠気(トロンとした目、あくび、居眠りなど)とは異なります。

3. 治療法のない神経疾患である

ナルコレプシーは 自己免疫性の神経疾患<autoimmune neurological disorder>であり、覚醒、睡眠、夢を司るニューロン(ヒポクレチンまたはオレキシンと呼ばれる)が徐々に失われることによって起こると考えられています 。現在のところ、失われたニューロンを補う治療法はありません。患者は複数の薬を服用し、健康状態やスケジュールに注意を払うことで対処しています。ナルコレプシーの症例は二つとして全く同じものはなく、ある患者さんには効果があっても、別の患者さんには効果がないこともあります。

2. 眠気=怠惰ではない

二徹、三徹した自分を想像してみてください。それがナルコレプシーの人が毎日感じている眠さです。この眠気は神経障害によるもので、コントロールできないものであり、怠けややる気のなさの表れではありません。怠けたいときは、テレビを観たり、ゲームをしたりしますよ。睡眠なんて、何の記憶にも残らない時間、ちっとも楽しくありません。

1. ナルコレプシーは身近にいる

ナルコレプシーの割合は2,000人に1人です。アメリカなら20万人、世界中には、大人から子どもまで、300万人もの患者がいます。ナルコレプシーは見えない病気です。外見上は「健康」に見えても、実は見えないところで闘病中だったりします。多くの人は持病を隠しています。あなたの友人・知人や同僚のなかにも、ナルコレプシーはいるのです。

引用文献

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