特発性過眠症とナルコレプシーの比較

特発性過眠症ナルコレプシー1型・2型には、人によってまちまちですが、日中の過度の眠気ブレイン・フォグ(脳霧)といった、類似・重複する症状がみられます。

Hypersomnia Foundation(過眠症財団)発表の「特発性過眠症とナルコレプシーの比較」をご紹介します。以前にも、同じくHFの会報SomnusNooze(ソムヌスヌーズ)から「特発性過眠症とナルコレプシーの違い」をご紹介しました。以前の記事では3疾患6症状でしたが、ここでは4疾患10症状を比較しています。

睡眠障害国際分類第2版から第3版への改訂で、特発性過眠症の長時間睡眠を伴う・伴わないの区別はなくなりましたが、ひとつの参考にとして、自己診断のお役に立てば幸いです。

下の表は、特定の症状がどの程度よく見られるかを比較したものです。

特発性過眠症とナルコレプシー2型は同じ病気であると考える人もいるため、比較しやすいように、特発性過眠症とナルコレプシー2型を横並びに配置しました。

目次

特発性過眠症とナルコレプシー1型・2型によくある症状の比較

凡例頻度(対象疾患のうち、該当の症状を訴える患者数の割合)
ほぼいつも(90~100%)
よくある(41~89%)
あまりない(11~40%)
めったにない(0~10%)
症状特発性過眠症ナルコレプシー
長時間睡眠を伴う長時間睡眠を伴わない2型1型
日中の過度の眠気
脳霧
長時間睡眠
重度の睡眠慣性
長い仮眠でも回復しない
短い仮眠で回復する
睡眠関連幻覚
睡眠麻痺
夜間の睡眠障害
情動脱力発作
IHIHN2N1

症状の解説

  • 日中の過度の眠気 (EDS) … 前夜に十分な睡眠をとっていても生じる、強い日中の眠気や強い睡眠欲。
  • ブレイン・フォグ(脳霧) … 精神的にだるかったり、ぼんやりしたり、混乱したり、忘れっぽかったり、集中できなかったりする症状。
  • 長時間睡眠 …  24時間あたり11時間以上(昼寝を含む)、または、主要な睡眠時間帯(夜間に限らず)に9時間以上の睡眠が必要である。
  • 重度の睡眠慣性 (睡眠酩酊ともいう) …
    • 寝起きが悪い … 大音量の目覚ましを何度も鳴らしたり、家族に起こしてもらったりする。
    • 寝起きが悪く、二度寝したいと思うことが多い。
    • 方向感覚を失い、混乱し、イライラする。
    • (身体感覚の)協調性がない。
    • 無意識に何かやっている
    • 起床後数時間続くことがある。
  • 昼寝の必要性  …
    • 昼寝がほぼ不可避。
    • 特発性過眠症の場合、ふつう長い(通常1時間以上)、 すっきりしない( 非回復性)、むしろ悪化することがある。
    • ナルコレプシー2型の場合、短時間でそこそこ目が冴える人が多い(回復性
    • ナルコレプシー1型の場合、短時間で目が冴える人が多い
  • 睡眠に関連した幻覚(白昼夢)… 入眠時や起床時に、実際にはそこにないものを見たり、聞いたり、感じたり、嗅いだりすること。
  • 睡眠麻痺(金縛り) … 入眠時や起床時に起こる、数秒から数分間、動けない、話せない状態
  • 夜間の睡眠障害 …
    • 中途覚醒が多い。
    • 睡眠障害の自覚がなくても、安眠できず、疲労感が残り、よく寝た感じがしない。
    • 睡眠検査で、睡眠からの覚醒(目覚め)や、異なる睡眠段階間のシフト(変化)が多い。
  • 情動脱力発作(カタプレキシー) … 突然の一時的な筋力低下で、通常は強い感情によって引き起こされる。

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引用文献

Compare symptoms of idiopathic hypersomnia and narcolepsy types 1 and 2 – Hypersomnia Foundation(https://www.hypersomniafoundation.org/classification/

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