モディオダール錠の適正使用について

適応症は3つだけ

下記疾患の確定診断を受けた患者以外の方には処方できません。

  1. ナルコレプシー
  2. 持続陽圧呼吸(CPAP)療法等による気道閉塞に対する治療を実施中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(以下「OSAS」)
  3. 特発性過眠症

モディオダールの処方にあたっては、登録された確定診断医師が必要な検査を実施した上で確定診断を行います。確定診断後の治療・処方を行う医師(登録された処方医師)は、登録された確定診断医師によって確定診断を受けた患者についてのみ、登録された確定診断医師との連携のもと、治療・処方を行うことができます。

処方の流れ

登録対象となる者

①登録された医師/医療機関に、②確定診断を受けた患者が、③登録された調剤責任者/薬局で、の3点が揃わないと、処方・調剤はできません。

医師/医療機関

モディオダールを処方できる登録医師には、以下の種類があります。

確定診断処方種類条件
確定診断医師I「日本睡眠学会専門医療機関A型およびそれに準ずる施設」に所属の日本睡眠学会専門医
確定診断医師II確定診断を行う医療機関として既に登録された施設において、睡眠障害の診療に従事している医師。専門医制度を有する学会の専門医であること。
×確定診断後の処方医師確定診断後の処方を行う医師。
(登録条件)
・日本精神神経学会専門医
・日本臨床精神神経薬理学会専門医
・日本睡眠学会専門医
・日本神経学会専門医
・日本小児神経学会専門医
・日本呼吸器学会専門医
・日本循環器学会専門医
×推薦医師登録医からの推薦を受けた、精神・神経関連疾患の診断・治療に精通した医師。
医療機関登録医師の所属する医療機関。
確定診断医師とは?:モディオダールの処方を行うにあたり、それに先立って必要な検査等を実施し確定診断を行う医師(確定診断医師は処方医師も兼ねる)

調剤責任者/薬局(院内薬局も含む)

  1. 調剤責任者:登録を希望する薬局の薬剤師
  2. 薬局:調剤責任者の所属する薬局

不適正使用とされる例

  • 必要な検査等を実施されていない、適応症の確定診断を受けていない患者には処方できません。→ 必ず、登録された日本睡眠学会専門医療機関A型あるいはA型に準ずる施設で、登録された確定診断医の確定診断を受けてください。
  • 適応以外の原因(睡眠不足など)による眠気に使用してはいけません。→ 適切な睡眠時間を確保すること
  • モディオダールは第一種向精神薬に指定されているため、厳格な管理が求められており、他人に譲渡したり余っても他人に渡したりしてはいけません
  • モディオダールは処方日数制限のある医薬品に指定されており、必要最小限の錠数で、投薬は1回30日分が限度とされています。→ つまり、継続して処方を受けるためには、最低でも月1回の定期通院が必要です。
  1. 登録医師の場合:適応外使用が行われた場合
  2. 登録薬局の場合:未登録医師からの処方にもかかわらず調剤した場合や、調剤責任者に変更があったにもかかわらず変更申請を怠った場合等。※不正に入手(詐取)する目的で、不審な処方箋(カラーコピー、PC等により偽造されたもの)が薬局に持ち込まれることがあります。書式等が不自然な処方箋や遠隔地の医療機関の医師から発行された処方箋には注意が必要です。交付した医師等に問い合わせ、疑義を確認した後でなければ調剤できません。→ そのため、確認・調剤に時間がかかる場合があることを、事前にご了承ください。

今に至る流れ

1976年フランスのラフォン社(現在Teva Pharmaceuticals Europe BV)が、覚醒促進作用を有する薬剤として、モディオダール錠の有効成分であるモダフィニルを創製
1994年9月国際誕生:フランスでラフォン社がモディオダール(modafinil)を発売
2007年3月28日販売開始:「ナルコレプシーに伴う日中の過度の眠気」の治療薬として日本で発売(同疾患治療の第一選択薬)
2011年11月25日効能追加:「持続陽圧呼吸(CPAP)療法等による気道閉塞に対する治療を実施中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に伴う日中の過度の眠気」の効能・効果が追加
2019年「モディオダール適正使用委員会」発足
2020年2月21日効能追加:「特発性過眠症に伴う日中の過度の眠気」の効能・効果が追加
2020年7月31日経過措置期間延長:新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、モダフィニル製剤 (モディオダール錠 100mg)の経過措置期間を延長
2020年8月31日(当初の経過措置期間終了日)
2021年3月31日経過措置期間終了
2021年4月1日
要件追加:従来の確定診断医師を「確定診断医師I」とし、「確定診断医師II」の要件を追加。これに伴い、適正使用基準が一部変更

著者

藤 崎 友
藤 崎 友
過度の眠気による不登校・定時制高校を経て、慶應義塾大学卒業後、IT企業入社。Webサイト制作・プログラミング歴10年。集客マーケティングに特化した広報デザイン、Webデザイン、ロゴデザイン技術習得。他、英検準一級の語学力と睡眠健康指導士の知識を活かし、睡眠情報の翻訳等を手掛ける。

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