MSLTでわかること・わからないこと

過眠症患者会

こちらは、海外の過眠症団体「Hypersomnolence Australia」さんが公開している資料を、日本語で紹介したものです。国内の医療事情とは異なる場合があります。全文は原文をご覧ください。

MULTIPLE SLEEP LATENCY TEST (MSLT)
What it does and doesn't tell a sleep physician

睡眠潜時反復検査(MSLTは、日中の静かな環境でどれだけ早く眠りにつけるかを測定し、日中の過度の眠気を測定する検査です。 MSLTは、現在、ナルコレプシーや特発性過眠症の診断に用いられている標準的な検査方法です。 MSLTは、終夜睡眠ポリグラフ(PSG検査の直後に行われます。 PSGは、閉塞性睡眠時無呼吸症候群や周期性四肢運動障害など、他の睡眠障害を除外するために行われる検査です。

MSLTは1日がかりの試験で、2時間の休憩をはさんで4〜5回の仮眠をとることになっています。仮眠中は静かにベッドに横たわり、眠ってもらいます。電気を消してから、 眠りに落ちるまでの時間を測定します。15分眠ったところで起こします。一連のセンサーが、患者が眠っているかどうかを測定します。また、センサーで患者の睡眠段階を特定します。

平均入眠潜時(眠りに落ちるまでの時間)が8分未満で、 MSLTの仮眠のうち2回以上に入眠時レム睡眠(SOREMPがある場合(直前の終夜睡眠ポリグラフで入眠時15分以内の SOREMPがあれば、 MSLTSOREMPの1つに代わることがあります)、医師はナルコレプシーという診断を考えても良いでしょう。平均睡眠潜時が8分未満で、SOREMPが2回未満の場合、医師は特発性過眠症の診断を検討することができます。しかし、この SOREMPが2回以下という MSLTの線引き等には疑問の声もあり、より適切な検査方法が求められています。

MSLTの主な目的は、患者がどれくらい早く眠りに落ちるかを見ることです。この問題は、特発性過眠症の患者は必ずしも入眠潜時が早いわけではないということです。 特発性過眠症の主な症状は、「過剰な睡眠」です。特発性過眠症では、MSL が正常(10分以上)であるにもかかわらず、自発的な睡眠が19時間にも及ぶことがよくあります。研究者は、 MSLT はもはや特発性過眠症(またはナルコレプシー2型)の診断のための「ゴールドスタンダード」とは言えないと述べています。 MSLT は診断目的としては感度も※特異度(特異度とは、臨床検査の指標の1つで、陰性のものを正しく陰性と判定できる確率のこと)も低いのです。さらに、 MSLTの結果の経時的な一貫性から、いくつかの診断、特に特発性過眠症の診断には信頼性がないことが示されています。

MSLTが特発性過眠症の被験者にとって疑わしい主な理由は、( MSLTの手順に従って)患者を朝早く起こしてしまうと、 特発性過眠症に典型的な夜間の長時間睡眠を記録できないうえ、長引く、リフレッシュできない日中の過眠エピソードも記録できないためです。

MSLTは、夜間の長時間睡眠の記録を妨げる。また、 MSLTの手法そのものが、長引く、リフレッシュできない日中の過眠症状の記録に適していない」(Billiard M, 1998)

特発性過眠症を正確に診断するためには、包括的な環境下で検査することが望ましいとされています。たとえば、夜間睡眠中に何が起こるか、 MSLTで患者がどのような反応を示すか、24〜32時間にわたって全く制限しなかったら、患者はどのくらいの時間眠り続けるかなどを、総合的に観察するのです。

SOREMPは、ナルコレプシーに限った症状ではなことに留意することも重要です。睡眠時無呼吸症候群を含む他の睡眠障害や、パーキンソン病などの神経疾患でもSOREMPは見られるのです。興味深いことに、健常者の13%以上がSOREMPを示すことがあります。これは通常、交代勤務や睡眠不足の結果です。

また、睡眠潜時8分未満は、ナルコレプシーや特発性過眠症に限ったことではありません。一般人口の最大30%が平均睡眠潜時8分未満なのです。

したがって、医師が MSLT を用いてナルコレプシー2型(情動脱力発作を伴わない)と特発性過眠症を診断する場合は、十分な注意が必要です。そのためには、症状の原因となる他の要因を適切に除外し、患者の病歴を適切に考慮することが不可欠です。

過眠症患者会

皆さんは、MSLTを受けた日のことを覚えていますか?
私は、MSLTの合間に待合室で眠り込んでしまい、「検査中だから寝ないでください」と何度も起こされたのを覚えています。
特発性過眠症患者は、寝起きの睡眠酩酊感が強く、一度寝始めると長いので、2時間おきに15分きっかりで目覚め、次の検査に備える、というサイクルは身体に合いません。MSLTは、どちらかというと、ナルコレプシーの睡眠リズムを再現した検査なんだと思います。病院の検査技師さんは時間で動いているので、患者がスケジュール通りに目覚めてくれないと、次の準備に差し支えて困ってしまいます。しかし、それが特発性過眠症の症状なのです。御本人の困難はさることながら、それを毎朝起こす御家族の苦労が伺い知れるでしょう。
たとえば、起こされてから実際に目を覚ますまでの出眠潜時(そんな用語はありませんが)を計るとか、15分おきに2時間の仮眠を課すとか…もしそんな真逆の検査をしてみたら、どんな結果が出るでしょうか?実に興味深いと思います。

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