数ある睡眠障害の中でも、ナルコレプシーや特発性過眠症などの過眠症疾患は、近年診断される患者数が増えてきています。しかし、その問題に気付いている医師は決して多くありません。

これらの中枢性過眠症には明確なバイオマーカーがありません。通常の診察だけでは気付けない症例が多いため、見落としも多く、いまだ珍しい病気と認識されていることが問題を生んでいます。

一般の内科や精神科を受診した場合、患者に睡眠脳波の入院検査まで勧める病院は少なく、また、睡眠中の異常所見を認めても、それは希少疾患だから可能性は低いでしょう、と過眠症を疑わないケースも少なくありません。うつ病や不眠症などの誤診を受け、誤った薬を服用し続ける方もあります。
患者だけではなく、医療関係者に対しても睡眠教育(眠育)を広めることが、早期発見・早期治療につながるはずです。

日常生活のなかで、典型的な過眠症状を呈している患者でも、「ただ眠いだけ」「気持ちの問題」などとして見過ごされやすく、症状が進行してから発覚することも多々あり、対応の遅れがQOLの悪化を招いています。
たとえば、健康診断の一環として、睡眠健康チェックが定期的に行われれば、こういった事態は減らせるはずです。

また、睡眠外来において、原因不明の過眠症の一部は、身体疾患や精神疾患が一次原因であるのに、それに気付く医師が少なく、根本的な治療を施すことができないまま、過眠症として覚醒薬が処方され続けているケースも少なくありません。

上記のような問題を少しでも減らすためには、患者の健康に関わる多くの医療関係者たちが、各々の職掌範囲および専門科の枠を越えて、睡眠健康に関する正しい知識を得る機会を持ち、睡眠障害の実態とその病理について、理解を深める必要があります。

眠くなる症状をもつ病気は、中枢性過眠症に限らず、身体疾患から精神疾患まで、多岐に渡ります。過眠症患者会では、睡眠専門医のみにとどまらず、会の活動に賛助・協力してくださる医療関係者の方を広く求めています。

防ぐことができる、または、軽くすることができる眠気で苦しむ人がこれ以上増えることがないように、この切実な願いをどうか受け止めて下さい。

事業報告書等については、内閣府ホームページに掲載されておりますので、そちらをご覧ください。