同じ経験をもつ患者さんの話を聞くことで、気持ちが楽になったり、闘病生活上のライフハックが参考になることがあります。 主治医の話と共に上手に活かしてください。

1.当事者同士の支え合いの場

過眠症を抱えての生活には、特有の不安や悩みがあると思います。過眠症と診断された直後は、家族や周りの人も本人の話に耳を傾けてくれることが多いのですが、治療の効果が薄かったり、闘病生活が長くなったりすると、やがて真摯に聞いてもらえなくなりがちです。
そうすると、診断のショックよりも、居眠りによる仕事のトラブルや、治療にかかるお金の心配など、日常生活についての悩みの方が気になることが多くなり、誰にどう相談したら良いのかわからなくて、孤独が深まる原因になりがちです。病院でも、治療のこと以外の日常生活の心配事についても相談することはできますが、こんなときに当事者目線で話を聞き、支えになってくれるのが「患者会」です。
他の患者さんの話を聞くことによって、「悩んでいるのは自分一人ではない」「同じような問題を抱えている人が他にもいる」ということが知れるだけでも、心が強くなり、気持ちが楽になるものです。

2.自分の体験が他の患者さんの助けになる

他の患者さんの体験を聞くことで、自分の悩みを解決する糸口を見つけたり、問題との付き合い方を学んだりすることができます。特に、生活する上で不便に感じている症状への対処や工夫について、実体験に基づくいろいろな解決方法やコツがとても参考になることがあります。
また、過眠症の体験を素直に話して相手に伝えることで、自分が病気のことを、どのように理解して受け止めていたのかがはっきりしてきて、治療や闘病生活の中でこだわってきたものが見えてきたり、同じ体験をした人に話を聞いてもらうことによる安心感や連帯感が生まれてくるというメリットもあります。
こうした体験に基づく知恵は、他の誰かの貴重なヒントになるばかりでなく、今度は自分が他の誰かの力になれるということを知り、自分自身に自信を取り戻すきっかけになります。このように「患者同士が支え合うこと」には、さまざまな良い影響を及ぼすことがたくさんあります。

3.患者同士の支え合いの場にはどのようなものがある?

患者同士が出会える場、支え合いの場としては、患者会、患者サロン、ピアサポートなどがあります。

患者会・家族会

患者会とは、同じ病気や障害、症状など、何らかの共通する患者体験を持つ人たちが集まり、自主的に運営する会のことです。 お互いの悩みや不安を共有したり、情報を交換したり、勉強会や講演会など、さまざまな支援イベントを用意していたり、国会請願など、社会に対する働きかけを行う活動をしています。交流会による気持ちや情報の分かち合い、SNSを介した悩みの相談、会報による情報提供などがあります。ナルコレプシーなど特定の診断名だけに限定している会もあれば、さまざまな種類の過眠症を対象に活動しているところもあります。

ピアサポート

ピア(Peer)とは「仲間」という意味です。ピアサポートとは、同じような悩みあるいは経験を持つグループの中で、同じ仲間として対等な立場で行われる支援のことです。

お互い仲間に支えられていると感じることで、自信をもち、前向きな気持ちになれたり、悩みの解決につながったりします。

患者や家族の悩みや不安に対して、自分の経験を生かしながら、当事者自身が、相談や支援を行うといった形での取り組みです。

4.患者会以外の選択肢

支え合いの場の探し方

これまで患者数の少ない過眠症の場合、患者会を探しても該当するものがないなど、患者 同士が知り合える機会はほとんどありませんでした。しかし、インターネットが登場したことにより、比較的容易に交流ができるようになりました。
患者コミュニティーサイトの中には、インターネット上で知り合った仲間と直接会う場(オフ会)を設けるところもあります。こうした場に参加することで、他の患者さんとより良い関係を築いていけると良いでしょう。

利用するときの心構えと注意点

自分に合った患者グループを探すためには、まず交流会などを見学してみましょう。ひとりで参加しにくい場合は、交流会は、曜日や時間帯、会場によって参加する人が入れ替わるので、気の合う人がいなくても、良し悪しをすぐ決めつけないで、何回か続けて参加してみましょう。
患者会によって目的や活動内容に違いがあったり、運営している人や仕組みが異なっていますので、実際に足を運んでみると特色がわかります。実際に行ってみると、雰囲気などが期待していた印象と違う、ということもあります。
患者同士の支え合いの場では、診断されたときの不安や、治療や療養中の心配事や悩みなど、近い体験を持つ人だからこそわかる、いろいろな悩みを共有したり、体験に基づいた具体的な対処法を伝え合ったりする利点があります。しかし同じ過眠症であっても、それぞれの人で治療内容や生活状況は違います。ほかの人に合った治療法や対処法、療養生活の過ごし方が必ずしも自分にも合うとは限りません。また、医学的なアドバイスは、必ず主治医に相談するようにしましょう。

患者同士が支え合うメリット

  • 悩んでいるのは自分ひとりではないことに気付き、気持ちが楽になります。
  • 他の患者さんの経験談を聞くことで、悩みを解決するヒントを得たり、問題との付き合い方を学んだりできます。
  • 実際の患者体験に基づいた解決方法を伝え合えます。
  • 闘病体験を人に話すことにより、自分の気持ちが整理できます。
  • 自分の体験がほかの患者さんや家族を支援する力になることを知り、失った自信を取り戻せます。

患者会のデメリット

閉鎖的な患者グループの中には、具体的な病院名を挙げて特定の医師への受診を勧めたり、特定の治療法を勧める(高額なオーソモレキュラー療法や漢方、プロバイオティクスでの完治を促すなど)、といった話があります。特定の病院や健康食品などを勧められた場合は、鵜呑みにせず、必ずご自身のかかりつけ医や過眠症患者会に相談してください。

組織に所属すると、肩書や仕事が与えられてしまって面倒臭いから患者会には入らない、と誤解している人がいます。本人が自らボランティアに志願しない限り、サービスを受ける立場のまま、何かの義務が発生することはありません。

ネットで匿名の相手と出会いを求め、同じような境遇の、近い年齢の人と友達になることはできるかもしれませんが、個人間のやり取りではトラブルの危険もあります。アイコンが若いし、喋り方が子どもっぽいから同世代と思い込んでいたら、昔の写真のまま、精神年齢の低い大人が相手だった、という恐怖体験もあります。

SNSで病気関係のつながりを持つと、なまじプライベートが垣間見えることにより、どんどん友達感覚になってしまうというデメリットがあります。あくまで闘病仲間として節度を保った付き合いを意識しないと、相手との距離感を見失い、現実の交友関係が侵食されてしまいます。

素性の確かな相手と、あくまで患者同士という節度を持った交流ができるという点で、患者会を勧めます。