ICSD-2版におけるナルコレプシーと特発性過眠症の相違点

ICSD-2では「情動脱力発作を伴うナルコレプシー」と「情動脱力発作を伴わないナルコレプシー」、「長時間睡眠を伴う特発性過眠症」と「長時間睡眠を伴わない特発性過眠症」が区別されていましたが、その区別はICSD-3に改訂されたときなくなりました。

情動脱力発作を伴う 情動脱力発作を伴わない 長時間睡眠を伴う 長時間睡眠を伴わない
ナルコレプシー 特発性過眠症
日中の過眠症状 3ヶ月以上ほぼ毎日続く眠気
眠気の持続 短い
(通常約15分以内)
長い
(1~数時間)
さまざま
眠気の強さ 耐え難い眠気 ナルコレプシーより弱い
仮眠後の爽快感 (+) (-)
朝や居眠り後の覚醒の容易さ 容易・爽快感を伴う 非常に困難なことが多い 困難なことがある
MSLT (施行自体が難しい)
 入眠潜時 8分以下
(典型的には5分以内)
8分以下
 SOREMP 2回以上
(ないこともある)
必ず
2回以上
2回未満
夜間睡眠
 睡眠潜時 短い 短い場合が多い
 総睡眠時間 正常範囲 10時間以上
(多くは12-14時間に及ぶ)
長時間ではない
(6-10時間)
 中途覚醒 多い(分断化) 少ない
中枢神経刺激薬の効果 有効 しばしば無効かつ副作用の頻度が高い
(頭痛、頻脈など)
情動脱力発作 情動脱力発作を伴う 典型的な情動脱力発作は認めない 情動脱力発作は伴わない
眠気や居眠り以外の症状 その他のレム睡眠関連症状
(入眠時幻覚、睡眠麻痺など)
※必発ではない
頭痛、めまい、失神、末梢血管障害などの自律神経症状をしばしば伴う
HLAハプロタイプ(DQB1*0602) 90%以上で陽性
(日本人ではほぼ100%陽性)
一部で陽性 特定のHLAとの関連はない
髄液オレキシンA値 DR2陽性では低値(<110pg/100ml)~検出限界以下 一部の例において低値 正常
(吉田 祥,黒田健治:過眠症の治療‐ナルコレプシーなど.Medicina 44: 1287-1290. 2007より引用改変)