禁忌

次の患者には投与しないこと

  1. 閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。]
  2. 本剤の成分又は 三環系抗うつ剤 に対し過敏症の既往歴のある患者
  3. 心筋梗塞の回復初期の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
  4. 尿閉(前立腺疾患等)のある患者[抗コリン作用により症状が悪化することがある。]
  5. MAO阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩) を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者[発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等があらわれるおそれがある(「3.相互作用」の(1)項参照)。]
  6. QT延長症候群のある患者[心室性不整脈を起こすおそれがある。]

組成・性状

アナフラニール錠
10mg
アナフラニール錠
25mg
成分・含量1錠中「日本薬局方」 クロミプラミン塩酸塩10mg1錠中「日本薬局方」 クロミプラミン塩酸塩25mg
添加物乳糖水和物、
トウモロコシデンプン、
ヒドロキシプロピルセルロース、
ステアリン酸マグネシウム、
精製セラック、
ヒマシ油、
白糖、
タルク、
アラビアゴム末、
酸化チタン、
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、
マクロゴール6000、
カルナウバロウ
乳糖水和物、
トウモロコシデンプン、
グリセリン、
軽質無水ケイ酸、
ステアリン酸、
ステアリン酸マグネシウム、
精製セラック、
ヒマシ油、
白糖、
タルク、
アラビアゴム末、
酸化チタン、
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、
マクロゴール6000、
カルナウバロウ
性状白色の糖衣錠(三角形)白色の糖衣錠(円形)
サイズ直径(高さ)6.1mm
厚さ3.5mm
直径(高さ)6.0mm
厚さ3.6mm
重さ110mg110mg
識別コードNF326NF327
包装300錠、
1200錠(PTP)、
1200錠(バラ)
200錠、
1000錠(PTP)、
1000錠(バラ)

効能・効果

  1. 精神科領域におけるうつ病・うつ状態
  2. 遺尿症
  3. ナルコレプシーに伴う情動脱力発作

<効能・効果に関連する使用上の注意>

抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。

用法・用量

  1. 精神科領域におけるうつ病・うつ状態の場合 成人にはクロミプラミン塩酸塩として1日50〜100mgを 1〜3回に分割経口投与する。ただし、年齢、症状により適宜増減するが、1日最高投与量は225mgまでとする。
  2. 遺尿症の場合 6歳未満の幼児にはクロミプラミン塩酸塩として1日10〜25mgを、また6歳以上の小児には1日20〜50mgを1〜2回 に分割経口投与する。ただし、年齢、症状により適宜増減する。
  3. ナルコレプシーに伴う情動脱力発作の場合 成人にはクロミプラミン塩酸塩として1日10〜75mgを 1〜3回に分割経口投与する。

使用上の注意

副作用

うつ病・うつ状態での副作用は、承認時まで及び承認後の副作用調査例数の累計1,964例中673例(34.3%)に認められ、主な症状としては口渇351件(17.9%)、ねむけ152件(7.7%)、立ちくらみ・めまい・ふらつき144件(7.3%)、食欲不振76件(3.9%)等がみられている。

遺尿症での副作用は、承認時までの調査198例(二重盲検比較試験を含む)中69例(34.8%)に認められ、主な症状としては食欲不振31件(15.7%)、早朝覚醒23件(11.6%)、口渇18件(9.1%)等がみられている。

重大な副作用

  1. 悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明):無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行う。本症発症時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、またミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。
  2. セロトニン症候群(頻度不明):不安、焦燥、せん妄、興奮、発熱、発汗、頻脈、振戦、ミオクロヌス、反射亢進、下痢等を主症状とするセロトニン症候群があらわれることがあるので、これらの症状が出現した場合には投与を中止し、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。
  3. てんかん発作(頻度不明):てんかん発作があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  4. 横紋筋融解症(頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
  5. 無顆粒球症、汎血球減少(頻度不明):無顆粒球症(前駆症状として発熱、咽頭痛、インフルエンザ様症状等)、汎血球減少があらわれることがあるので、定期的に血液検査を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  6. 麻痺性イレウス(頻度不明):腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止すること。なお、この悪心・嘔吐は、本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること。
  7. 間質性肺炎、好酸球性肺炎(頻度不明):発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には投与を中止し、速やかに胸部X線等の検査を実施し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
  8. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群SIADH)(頻度不明):症状として低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
  9. QT延長心室頻拍(Torsades de pointesを含む)、心室細動(頻度不明):定期的に心電図検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  10. 肝機能障害黄疸(頻度不明):AST(GOT)、ALTGPT)、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと

高齢者への投与

少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。[高齢者では、起立性低血圧、ふらつき、抗コリン作用による口渇、排尿困難、便秘、眼内圧亢進等があらわれやすい。]

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

  1. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。[新生児に呼吸困難、嗜眠、チアノーゼ、興奮性、低血圧、高血圧、痙攣、筋痙縮、振戦等の離脱症状を起こしたとの報告がある。また、海外で実施されたレトロスペクティブな疫学調査で、妊娠初期に本剤を投与された患者群において、胎児での心血管系異常(心室又は心房中隔欠損等) の相対リスクは本剤が投与されていない患者群に比べ高かったとの報告がある。動物実験(ウサギ)において静脈内投与した場合、胎児死亡率の増加が認められている。また、他の三環系抗うつ剤(イミプラミン)の動物実験(ウサギ)で催奇形作用が報告されている。]
  2. 本剤投与中は授乳を避けさせること。[ヒト母乳中へ移行する。]

小児等への投与

小児に投与する場合には4歳以上に投与することが望ましい。 [低出生体重児、新生児又は乳児に対する使用経験がない。]