同義語

  • ナルコレプシー2型
  • ナルコレプシータイプ2
  • 情動脱力発作を伴わないナルコレプシー

診断基準

耐えがたい睡眠要求や日中に眠り込んでしまうことが毎日、少なくとも3カ月間続く。

基本的な特徴

ナルコレプシー2型の特徴は、①日中の過度の眠気と、②睡眠ポリグラフ検査や睡眠潜時反復検査(MSLT)における異常なレム睡眠の発現です。情報脱力発作はありませんが、ストレスや怒りなど異常な感情変化をきっかけとして筋肉の力が弱まる非定型な感覚が報告される場合もあります。日中の居眠り後に爽快感をもつことが特徴です。

診断の基本となる特徴は、

  1. MSLTでの平均睡眠潜時が8分以下
  2. かつ睡眠開始時レム睡眠期(入眠時レム睡眠期、SOREMP)が2回以上であること(あるいはMSLTで1回、かつ前夜の睡眠ポリグラフ記録において1回SOREMPがあること)

です。①脳脊髄液(CSF)オレキシンA(ヒポクレチン-1)濃度が110pg/mL以下、あるいは、②健常群について同一の標準化された測定によって得られる平均値の1/3未満である場合は、診断除外されますが、ナルコレプシー2型の患者の多くはCSF検査を受けないでしょう。

随伴特徴

  • (ナルコレプシー1型と同じ)睡眠麻痺、入眠時幻覚、自動症が存在する場合があります。
  • 記憶力の低下、自動症、眼瞼下垂、目のかすみ、複視が、眠気と関連して生じる場合があります。
  • レム睡眠行動障害(RBD)やノンレム睡眠時随伴症も生じることがあります。
  • 夜間睡眠が頻回の中途覚醒によって分断化する場合もあります。

臨床的・病態生理学的亜型

身体疾患によるナルコレプシー2型

身体疾患に起因し、ナルコレプシー1型の診断基準を満たす状態は、身体疾患によるナルコレプシー2型に分類されます。ナルコレプシー2型と関連する神経疾患には、

などが含まれます。睡眠時無呼吸とナルコレプシー2型の両方と関連する疾患、たとえば、筋強直性ジストロフィープラダー・ウイリー症候群では、ナルコレプシー2型の診断は睡眠時無呼吸を十分に治療した後にも、異常な睡眠潜時反復検査(MSLT)所見が持続する場合にのみなされるべきです。

患者統計(有病率)

素因・誘因(原因)

家族内発現形式(遺伝)

ナルコレプシー2型の詳しい遺伝形式は不明です。ナルコレプシー1型患者の親族は、ナルコレプシー2型の診断と一致するナルコレプシーの部分症状を経験しやすいかもしれません。

発症・経過・合併症

発達上の問題

病理・病態生理

客観的な所見

鑑別診断

未解決事項と今後の課題

明確なオレキシン欠乏を示す少数の患者を別にすると、情動脱力発作を伴わないナルコレプシーの生物基盤は未解明です。ナルコレプシー2型が均質な疾患なのか、不均質なのか確立されていません。一部の患者で、脳脊髄液(CSF)測定では識別できない程度の部分的オレキシン欠損があるかどうかについてもわかっていません。診断分類のさらなる進歩は、これらの未解明点に対する回答にかかっています。過眠症状の原因と、経過中に情動脱力発作を発症させる危険因子を確定するために、ナルコレプシー2型の自然経過についてのさらなる研究が必要です。

出典

  • 米国睡眠医学会. "ナルコレプシータイプ2(Narcorepsy Type2)". 睡眠障害国際分類. 日本睡眠学会診断分類委員会. 第3版, 東京, ライフ・サイエンス, 2018, p.107-111.