医療講演会「神経発達症と過眠について」

オンライン医療講演会

医療講演:「神経発達症と過眠」

場所:オンライン(YouTubeにて限定公開)

日時:令和4年1月29日(土)14:00-15:30

(講演は14:00-15:00、質疑応答15:00-15:30)

参加対象: 本講演に興味のある方(申し込みをしてくれた方。当会の会員さんでなくても申し込めます!)

​申し込みをしてくれた方に視聴URLを送ります。

​申し込み:https://forms.gle/WJaF7TAgaufiHzQE7

当日のアーカイブ

神経発達症と過眠について
~児童精神科医の立場から~

・駒木野病院、児童精神科病棟について紹介
・神経発達症とは何か?※以前は発達障害とも呼ばれていた
①自閉症スペクトラム障害(ADHD)の特徴
→A.対人関係が苦手…社会的なコミュニケーションでトラブルになりやすい
→b.こだわりが強い…図鑑的な知識が大好きで、狭い興味に熱中
②注意欠陥多動障害(ASD)の特徴
→不注意、多動性、衝動性…生活に支障が出るレベル
→忘れ物、落とし物が多い。飽きっぽい。
③神経発達症群
→神経発達症は重複しやすい
→ADHDとASDは特に併発しやすい

・過眠とは?=過度に遷延する深い眠りのエピソード
子どもは、眠気を「眠い」と訴えられない→イライラや倦怠感、不器用など、精神症状や行動状の問題として現れる

・睡眠異常と社会損失
・日本の子どもは睡眠時間が短い
・22時以降に寝る子どもの割合
・日本の中高生の睡眠習慣
→まとめ:日本の子どもは、睡眠時間が短く、寝る時間が遅く、睡眠に対する満足度が低い
→年寄りは若者に早起きを勧めるが、思春期は睡眠相が後退するため、逆効果
→米国小児科学会は、始業を30分遅らせることを推奨

・小児期にみられる睡眠障害
・小児の睡眠障害の頻度は10%程度と言われている

・神経発達症と睡眠障害のパターン
①神経発達症と睡眠障害を併発している場合
②神経発達症の症状が睡眠障害に似ている場合
③神経発達症の薬が睡眠障害を起こしている場合
④不健康な睡眠習慣など、

・ASDと睡眠障害の親和性
→大人も子供も、睡眠障害のリスクが高い
・児童精神科医、外来患者における睡眠調査
・ASDとEDS(日中の過度の眠気)は密接に絡み合っている
・成人期ASDは、EDS(日中の過度の眠気)が問題になりやすい→仕事があるから

・むずむず脚症候群(RLS)
・子どもによるRLSの描写
・多動、不注意の症状が重複するため、併発か?同一疾患の副症状か?鑑別が必要

・閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)
・大人の無呼吸と違って、呼吸は止まりにくい代わりに、いびきが目立つ、夜尿が多い
・アデノイドなど手術で改善しやすい
・昼間の多動や不注意につながりやすい

・ナルコレプシー
→レム睡眠の障害、過食~肥満、精神症状も出やすい
・ナルコレプシーとASDについて…治療薬は共通(メチルフェニデート)

・不眠症(慢性不眠障害)
・子どもに睡眠薬を使うのは非推奨、生活習慣の改善が第一
・ASD治療薬と睡眠
・中枢神経刺激薬で不眠が生じた場合の対応
・向精神薬と睡眠障害
・自閉スペクトラム症の中核症状と不眠の関係

・おまけ…思春期、過眠、神経発達症の併発
→神経発達症と合併する精神疾患について
→愛着(アタッチメント)の問題を呈しやすい…治療継続が困難
→神経発達症と睡眠覚醒リズム、メディア曝露…夜型傾向が増加

まとめ
多方面の可能性を考慮しての診断・治療が大切

6.主な話題・質疑応答等(◆2~3例記入)
Q.先延ばし・過集中による夜ふかしの対策を教えてほしい。
A.意志の力に頼らず環境を変える→照明、入浴など

Q.ナルコレプシー以外の過眠症の併発率はどのくらい?
A.臨床的には体感多いと思われる。

Q.発達障害か過眠症か、診断と治療の流れは?
A.順次、除外診断していく。

Q.MSLTしか検査をしてないのにASDと診断されたのはなぜか?
A.神経発達症の診査基準は、総合的にヒアリングで決まる。検査をしていないように思えても、普段の様子を観察して、主治医が判断したのでは。

Q.ナルコレプシー2型または特発性過眠症と発達障害の併発率は?
A.まだ不明な点が多い。