現実世界で生きる
作者:秋谷進(あきたにすすむ)
第2回ショートストーリーコンテスト佳作「現実世界で生きる」
私は高校1年生。中学には、ほとんど行かず不登校だった。だから中学でみんなが経験してきたようなことは知らない。でも、何よりな大切な経験と親友を手に入れたの。
私が中学校に入った時、両親はスマホを買ってくれた。小学生の頃から、スマホを持っている子もいたので、ずっとほしいと思ってたから、買ってもらえた時は本当に嬉しかった。家のお手伝いもするし、肩叩きだってするし、良い子でいようって思ったぐらい。でも、私はすぐにスマホに夢中になってしまって、約束は守れなかった。
スマホは国語辞典とは違って、すごく簡単に検索出来て、何でも知ることができるのが面白いと思ったり、小説を読んだり動画を観たりするのも楽しかった。小説や動画は、プロじゃない人でもアップして、世界に配信しているというのも、すごいことだと思う。それに、夜になると動画がどんどんアップされていくから、それを見ていたら、今度はSNSで友だちから連絡が来るから、返信もしなくちゃいけなくて……。そんなことをしていたら、あっという間に夜中。それに私には、はまっているスマホゲームもあって、時間がいくらあっても足りなくなっていったの。
お父さんもお母さんも、夏休みだからということで許してはくれたけど、夏休み中は結局、昼夜逆転の生活になっちゃった。だって明け方近くまで起きているんだから、朝に起きるなんてできないもん。それに、日中は動画が更新されることも少ないし、ちょうどいいかなって思っていた。
でも、8月が終わって、9月の始業式。8月31日も夕方に起きて動画見たり、ゲームをしたり、友だちに返信したりしていたから、寝る時間もなく、学校に行かなくちゃいけなかった。始業式は、校長の長い話から始まる。もう眠い眠い。何の拷問だよって思っちゃうぐらい。足元はふらついてくるし、頭だってフラフラしてくる。意識がなくなって――
バタン
私は始業式で倒れて、保健室に行くように言われてしまった。だって、しゃきっと立てって言われても、そんなことできないもん。身体がもう、睡眠に入っちゃっているから。
結局、私は保健室で3時間爆睡をした。起きた時にはもう、始業式は終わっていて、保健室の先生から、帰るように言われた。
その日。学校から帰ってきたら、まずお母さんに怒られた。そして、夜になってお父さんが帰ってくると、お父さんにも怒られた。さんざん怒られたけど、その日も夜の時間帯に新しい動画を見るのを辞められなかったから、気づいたら朝の5時。急いで寝なきゃと思っていたら、余計に焦っちゃって、結局熟睡し始めたのは6時だった。
7時にお母さんが起こしに来たけど、まだ1時間しか寝てないから起きられない。7時半に再びお母さんが起こしに来たけど、やっぱり起きられない。8時になって、「いい加減にしなさい!」と言って、私の布団を無理やりはぎ取ったんだけど、30分おきに起こしに来るから、全然熟睡できないし、起きられるはずがないよ。ふわわわわ……。
「もう知らないからね!」
そう言って、お母さんが出て行ってから、ようやく静かになった。これで眠れるよ。
「ん~! よく寝た」
目を覚ますと、お昼の2時だった。ようやく頭も冴えている。1階に降りていくと、キッチンに朝ご飯が置いてあった。お母さんは、今日はパートの日だから、誰もいない。
私は1人で朝ご飯を食べて、ボーっとする。もう授業も終わるだろうし、今から言っても仕方ないよね。ゲームでもしようかな。
そしてそこから、私の不登校が始まった。学校に行きたくないから不登校になったわけじゃない。明け方まで起きているから、朝起きられないだけ。一度、お父さんとお母さんにスマホを取り上げられたけど、学校の友だちと連絡が取れなくなって、友だちがいなくなったら、本当にもう学校に行かないから! って言ったら、返してくれた。何だかんだ、私の両親は私に甘い気がする。
スマホから離れられない生活。取り上げられただけで、気が狂いそうになった。学校の友だちとスマホで連絡を取り合って入るけど、だんだん面倒になってきているってことは、親には内緒。でも、学校以外の友だち、オンラインゲームで友だちとの連絡は楽しくしている。これも親には言ったことないけど。それにやっぱり、スマホで動画を見るのは楽しいからやめられない。
朝日が昇る頃に寝て、夕方に起きるという生活が習慣づいていった。初めは、朝方まで動画を見ていたから、昼間寝ていたんだけど、寝すぎて明け方に起きた時もあった。目がすごく冷めていて、朝の7時でも普通に起きていられた。その時の恐怖感は忘れられない。私はなんてだめな人間なんだろうと思った。親はもう諦めて起こしに来ないけど、この時間はみんなが学校に行く時間。だから、ほら、窓の外から声が聞こえてくる。
「おはよう~」
「今日も部活?」
「そうだよ~朝練なんだー」
もう何週間も学校に行ってない。だから行く勇気なんてモテない。それなのに、こんな学校に行く子たちの声を聞くなんて堪えられない。
ただ、目が覚めると、トイレに行きたくなる。でもトイレは2階にはなくて、お父さんとお母さんが朝食をとっている1階にしかない。だから、ちょっと行きづらい。だって、私が学校に行っていないこと、よしとはしていないだろうし、申し訳なく感じちゃうから。だから、トイレにも行かず、2人が家を出るまで我慢した。そして、誰もいなくなったら、トイレに行って、再び寝ることにしたの。昼間はやっぱり不安になっちゃうから。それに眠い眠い。でも、夜の時間は違う。何の不安もなくて、私だけの世界になれるから楽しいんだ。
それからまた、1か月が過ぎた。夜に起きているのは好きなんだけど、この頃はヘッドフォンを付けるようになった。だって最近、私のことでお父さんとお母さんがケンカをするようになったから。そんな声、聞きたくないよ。せっかくの私の大好きな夜の時間に。
コンコン
ある日の夜。私が起きている時に、お父さんとお母さんが部屋に入ってきた。こんなこと今までなかったから、驚いた。しかも2人も真剣な表情をしているし、何か怖いよ。
「明美。お母さんね、病院に相談に行ってきたの」
「お母さん、身体の調子でも悪いの?」
「違うわ。明美のことを相談しに行ったのよ」
私はその言葉に驚く。だって、私はどこも悪くはないから。
「何で病院なんか……」
「明美。それで、お母さんと相談したんだが、一度児童精神科に行こう。その日は、お父さんも仕事を休むから」
お父さんの言葉に、私はさらに驚いてしまう。何だか大ごとになっていることに、私は焦った。というよりも、なんで児童精神科なんて、よくわからないところに行かなくちゃいけないのかがわからない。だから、私は断固として反対した。というより、無理やり連れて行かれそうになったけど、ベッドの柱にしがみついて、頑なに動かなかった。そしたら、2人も諦めたみたいで、2人だけで児童精神科に行ってくると言って、家を出て行っちゃった。
その日の私のモヤモヤした感じは、ずっとあって、昼間だっていうのに眠れなかった。こんなに心が落ち着かなくて、眠いのに寝られないのは初めてだった。
数時間がたって、お父さんとお母さんが、家に帰ってきた。何か言われるのかなって、覚悟していたけれど、結局2人は何も言わない。児童精神科で、何を言われたのか気になったけど、自分から聞くこともできなくて……。ただ、2人の態度は変わった。前までは、私のことを諦めたとは言っても、「何で学校行かないの!」「ちゃんと朝に起きなさい!」って怒ったりしていたのに、怒らなくなった。ただ、「夜はしっかり寝たほうがいいわよ。あなたは睡眠相後退症候群(概日リズム睡眠障害)の疑いがあるようだから」とだけは、やんわり言われた。
2人の態度が急変したのは、やっぱり児童精神科で何か言われたからなのかな? 睡眠相後退症候群というのと、関係しているのアかな? よくわからないけど……。
それからさらに1週間がたち、何とお父さんが病気で倒れて入院しちゃったの! あの丈夫そうなお父さんが倒れるなんて、考えたこともなかったから、頭の中が真っ白になっちゃった。そんな状態だから、友だちから連絡が来ていても、すぐに返信ができなかった。
その後で、私はクラスの掲示板みたいなものがあることを知っていたので、覗いてみた。存在があることは知っていたけど、色んな子の悪口が書かれていることがあるから、見ないようにしていたというのもある。けど、その時は、何となく気になって……。
そしたら、
「学校に来てないんだから、返信ぐらい早くしろよな。どうせ暇なんだしよ」
「学校行かない奴はダメだな」
「あいつ高校にも行けないよ」
「ゲームだけうまくてもな」
と、私の悪口がたくさん書かれていた。こんな風に思われていたなんて。
私、どうしたらいいの?
友だちだと思っていたクラスメイトは、ちょっと連絡しないだけで悪口を言うし、お父さんは倒れてしまうし、お母さんは最近ずっと泣いてる。私の前では、毅然とした態度を取ろうとしているみたいだけど、夜にこっそり泣いていることは知ってるの。でも私は何もできないから。
やだ。
もうやだ。
こんな自分は嫌だよ! でもこんなときでも眠い眠い。
「お母さ~ん!」
私はそう叫びながら、階段を下りて、キッチンで料理をしていたお義母さんの背中に飛びついた。
「私、私変わりたいよ~」
「明美……!」
翌日。お母さんが本当は1人で児童精神科に行く予定だったものに、私もついていくことになった。お母さんは、あれからもずっと児童精神科の先生に相談をしていたみたい。私は、児童精神科というのがピンとこなかったけど、診察室に入ったら、普通の病院みたいな感じで、児童精神科医の男の先生も、白衣を着た優しそうな人だった。
「初めまして。お話は伺っていたよ」
「明美です……」
優しそうな先生ではあるけど、私は大人と話すことに慣れていないから、ちょっと不安になっちゃった。でも、隣にはお母さんがいるから大丈夫。
先生は、お父さんとお母さんに、私のことを責めちゃダメだって言ったらしい。今はスマホがある時代だから、完全に取り上げることもできないって。ただ、最近の研究では、20歳までの過ごし方で、夜型の生活をするか、昼型の生活をするかが決まるから、夜型の生活に慣れるのはいけないって言われた。
それと、お母さんたちが相談をしに来た時に、先生から、生活を整える行動療法が必要なんだけれども、「夜は寝て朝は起きる」「スマホは時間を決めてする」ということを、私自身が理解しないと、ここに相談に来ても役に立てないと言われたらしい。でも、お母さんたちは、私がダメな人間だって思われたくないから、ちゃんと理解しているって嘘をついていたということを聞かされた。
「お母さん……」
「明美は自分を責めないでね。私がちゃんとしてあげられなかったから悪いのよ」
「そんなことないよ……私、私ちゃんとするから! ちゃんと頑張るから!」
「明美!」
私とお母さんとの和解が終わった後、先生が例の睡眠相後退症候群について説明をしてくれた。直接診察をしてみても、やっぱり、睡眠相後退症候群の疑いがあるからって。
「それで明美ちゃんにはこれから、睡眠評価シートを付けてもらおうと思う。フォーマットはあるから、そこに寝た時間、起きた時間など1日の行動を書き込んでいってね。一緒に生活改善をしていこう」
「はい!」
その日から私は本当に心を入れ替えた。スマホは1日1時間しか触らないって決めたし、勉強も自宅でだけどするって決めたし、夜もなるべく早く寝て朝に起きようって決めた。そう決めただけなのに、掲示板で悪口ばっかり書いている友だちが、本当の友だちではなかったと思うようになった。不思議だけど。
そしたら先生が、「君は、睡眠相後退症候群だよ。1日15分、目的をもって早く起きるというのをしてみて下さい。目的は何でもいいよ」
と言ってきたので、私は15分早く起きて、ずっと興味のあった小説を書いてみることにした。小説を書くっていう目標を部屋の壁にも貼った。そしたら不思議なことに、あんなに起きられなかったはずなのに、15分だけ、本当に早く起きられるようになったの。これってすごいことだよ! 普段は16時ちょうどに起きていたので、15時45分に起きられるなんて思ってなかった。
私はちゃんと目が覚めたから、机に向かって小説を書いてみた。初めて書くから難しくはあったけど、完璧を求めるんじゃなくて、今はとにかく思ったことを書こうって思った。
それから1か月が過ぎた。数か月も学校を休んでいたけど、本当はまた通いたい。だって、その方がお母さんもお父さんも喜んでくれると思うから。けど、15分ずつ早く起きるというのも、12時に起きられるようにはなったけど、12時より早くはどうしても起きれない。こんなんじゃ、中学校には通えない。それに、勉強もしなくちゃと思って、教科書を開いてみたけど、忘れていることが多くて、全然わからなかった。だから、お母さんと一緒にまた児童精神科の先生に相談した。そしたら、友達関係で悩んでいたり、学校のルールとかハマらないなら、適応指導教室があるから、そこに行ってみると良いよって。初めはどんなところなのかわからなかったけど、昼からでも通えるなら、私でも通えると思って行くことにした。
「今日からよろしくお願いします」
私は適応指導教室で挨拶をした。みんな私に興味があるのかないのかわからない。けど、前の中学校みたいに、クラスメイトはみんな友だち! みたいな強制感がないのは、正直嬉しい。私もまだ朝からは通えないから、昼登校だし。
とりあえず、与えられた場所に座ると、近くに同じぐらいの女の子がいることに気づいた。ちょっと、私に怯えているみたい。なんでだろう? そんな反応をされるのが珍しくて、彼女のことを気にしていたら、ここに通い始めて2週間が過ぎた頃に話しかけてきてくれた。
「あの……初めまして。由香里です」
この教室で、初めて声をかけてくれたので、私は嬉しくなった。私が見ていたから、声をかけてくれたのかもしれないけど、こんな風に同年代から声をかけられたのが、本当に久しぶりだったからだ。
「私は明美だよ。よろしくね」
「うん、よろしく」
それからその日は、勉強の合間に由香里ちゃんとたくさん話をしたんだ。由香里ちゃんは、学校でのいじめが問題で不登校になったんだって。だから、同じ不登校者として、私のことを本気で心配してくれたの。あんな裏掲示板に書き込むようなタイプじゃない由香里ちゃんと話をしていると、私の心の中にあった不安もだんだん薄れてきた。
適応指導教室には勉強をしに行ってはいるけど、由香里ちゃんに会いたいから行くという意識も強かった。彼女としゃべりたい、彼女に会いたい。そして、由香里ちゃんも、そう思ってくれている。これってもう、友だちってことだよね?
私は何でも言葉にしないと不安だったので、由香里ちゃんに聞いてみた。
「由香里ちゃん。あのね。私、由香里ちゃんのこと、友だちだって思っているんだけどいいかな?」
「そんなの当たり前だよ! 私も明美ちゃんのこと、友だちだと思っているから」
「由香里ちゃん!」
私たちは、お互いに気持ちを確かめ合って、ちゃんと友だちになることができた。
そしたらね、あんなに手放すだけで気が狂いそうだったスマホを、手放すことができたの。ふっと、これはそんなに必要じゃないやって思えたんだ。
スマホを手放したら、自分の時間がもっと増えた。こんなにも、私はスマホを触って、無駄な時間を過ごしていたんだなって驚くぐらい。自分の時間が増えたから、私は勉強と小説を書く時間を増やした。小説は本当に面白くて、書けば書くほどその奥深さに魅了されている気がする。
そうそう、自由な時間が増えたから、お母さんと一緒に料理をしたり、お菓子作りをしたりも、最近はし始めたんだよ。今度お母さんと一緒にクッキーを作って、由香里ちゃんと一緒に食べられるんだ。考えただけで、ワクワクしてくる。
それに、あの児童精神科にも、お母さんと一緒に通っている。前回行った時に、1日の過ごし方を時間ごとに書いてきてくれるかなって言われたから、持っていったの。そしたら褒められちゃった。大人に褒められるのは、やっぱり嬉しい。そしたら先生が、
「明美ちゃんは、心も身体も健康になってきたね」
だって。よくわからないけど、健康なのはいい事だよね。それともそれも誉め言葉?
適応指導教室に通い始めて半年。私は朝も起きられるようになった。由香里ちゃんと言う友だちができて、午前中から一緒にいたいという気持ちがあったのと、スマホを手放せたからだと思う。今では8時に起きられるようになった。適応指導教室には8時半に起きられれば間に合うんだけど、この後の高校のことを考えれば、できれば7時ぐらいには起きたいから。
適応指導教室での時間は楽しい。でも、元居た中学校のみんなと登校時間が重なることを考えると、モヤモヤした気持ちが出てきて、それ以上は早く起きることができなかった。でも、私はこの気持ちを克服したい。だって、由香里ちゃんと高校に通いたいから。絶対に乗り越えて見せる!
児童精神科の先生やお母さんが、私はもう前まで通っていた中学校に行っても大丈夫だよって、2年生の夏休みの時に言ってくれた。けど私は、適応指導教室が好きだし、ここで由香里ちゃんと一緒に学校を卒業したいから、このままここに通うって言ったんだ。それを由香里ちゃんにも言ったら、本当に嬉しそうにしてくれた。
由香里ちゃんは、私とは友だちになれたけど、前まで通っていた中学校にはやっぱり行きたくないみたいで。引っ越しをして、別の中学校に通うってこともできるって、親に言われたみたいなんだけど、せっかく私と友だちになれたから、離れたくないって言ったんだって!
私と由香里ちゃん、同じことをしてるねって言いあって、笑ったんだよ。私、ここに来なかったら、一生友だちなんてできなかっただろうなって、改めて思った。大げさなのかもしれないけど、私にとっては、由香里ちゃんみたいな友だちができることって、本当に奇跡みたいなものだから。
中学3年生になった。適応指導教室には本当に色々な子がやってくる。由香里ちゃんみたいにいじめに遭った子もいれば、親との関係が悪くてここに来た子もいた。それに、私みたいにスマホばっかり使っていて、朝が起きらられなくなった子もいた。そんな子には、先輩としてしゃべりかけてるんだよ。
私は初め、由香里ちゃんとだけ仲良くなれればそれでいいって思っていたけど、他のことも話をするようにしたんだ。あ、でも、もちろん、一番は由香里ちゃんだけどね!
そして1学期も終わり、夏休みに入った。お母さんと一緒に高校進学フェアに行ったの。そしたら、埼玉県の県立高校に不登校枠は、1高校につき1人しか昔は行けなかったけど、最近はその制度も変わってきたという話を聞いた安心したら夜も前より寝られるようになったと思う。私みたいなダメな子も頑張れそう。それってつまり、私と由香里ちゃんが、同じ高校に行けるってことだよね!?
お母さんに、由香里ちゃんと一緒の高校に行きたいって言ったら、由香里ちゃんと相談してみなさい、だって。お母さんは、特に反対じゃないみたい。すごく嬉しい!
しかも嬉しい事って続くんだね。ずっと入院していたお父さんが、ようやく退院したの! 家で1週間ぐらい安静にしたら、仕事も復帰できるんだって。久しぶりに家族3人で揃って食べた夕飯は、とっても美味しかった。まぁ、お母さんがいつも以上に気合を入れていたし、私もお手伝いしたから当然なんだけどね。
こうして私は、高校生になったっていうわけ。中学校時代は、結局7時には起きられなかったけど。今も雨の日とか生理の日はがんばっても眠い眠い。それに元の中学校でのあの掲示板のことが大きい。でも、私は前を向いていたい。せっかく由香里ちゃんと一緒の高校に入れたんだから。それにね、まだ私は高校1年生なんだけど、春の小説コンクールで、なんと入賞したんだよ!
由香里ちゃんも喜んでくれたし、お父さんも、お母さんも喜んでくれた。3人は、私の1番の読者でもあるから、もうべた褒めで。そこまで褒めなくていいって言ってるんだけどね。でも、お祝いをしてくれたのはうれしかった。
今振り返ってみても、スマホを使うのはすごく楽しかったけど、たぶん依存しすぎていたんだと思う。スマホを使う時間を減らして、辞めてみると、自分の時間がたくさんできた。そしたら、たまたまかもしれないけど、入賞だってできちゃった。
夜は寝て、昼は起きて勉強したり、友だちと遊んだり、小説を書いたりする。こういう毎日がとっても楽しい。
私は高校を卒業したら、文系の大学に行って、もっともっと文学を学んで小説家になるのが夢なの。
夢は現実世界で見るのがやっぱり楽しいな。
感想コメント

文章の書き方が独特で好印象でした。

昨年も応募してくださってありがとうございました。今年は少し作風が変わって、女性を主人公に据えている点で、共感できました。

思春期女子風な軽快な言葉遣いが読み易かったです。人により気づきが得られる作品だと思います。早い段階での睡眠習慣改善の大切さや家族や友人との関わりなどリアルに描かれていて良かったです。
皆様の感想コメントもお待ちしています☆彡
著者

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