覚醒薬について

国内で処方可能な、日中の過度の眠気に効果のある覚醒薬は、主に、①リタリン、②ベタナミン、③モディオダール、の3種類です。お薬の違いについて質問が多いため、お薬の比較表を作ってみました。比較評価は、一般的なお薬と比べてではなく、この3種類の中での相対評価とします。治療選択肢の参考になれば幸いです。

リタリン
ritalin
ベタナミン
betanamin
※過眠症治療目的の場合
モディオダール
modiodal
一般名メチルフェニデートペモリンモダフィニル
処方難易度★★★
ナルコレプシー限定
★☆☆
診断名の限定なし
★★☆
診断名の限定あり
薬価
安い
(6.3円/錠)

安い
(7.7-16.3-35.1円/錠)

高い
(316.1円/錠)
用法1〜2回に分割朝食後、昼食後の2回
用量
(適宜増減)
成人20-60mg/日
6錠
成人20-200mg/日
20-8-4錠
成人200-300mg/日
3錠
有効期限
長い(3年)

長い(3年)

長い(5年)
効果時間
(半減期)

短い
(4-6h)

長い
(8-10h)

長い
(10-15h)
ピーク約2h不明1.9-3h
消失約7h約12h約15h
製造会社ノバルティスファーマ三和化学研究所アルフレッサファーマ
委員会リタリン流通管理委員会モディオダール適正使用委員会
詳細詳細詳細
目次

効能または効果について

リタリン、ベタナミン、モディオダール共に、ナルコレプシーへの効能・効果を認めています。

リタリンは、ナルコレプシー以外の疾患には処方されません。

ベタナミンは、効果・効能が二つあります。<軽症うつ病、抑うつ神経症>に対しては、低用量(10〜30mg)を処方します。<ナルコレプシー、ナルコレプシーの近縁傾眠疾患に伴う睡眠発作、傾眠傾向、精神的弛緩の改善>を目的とする場合は、20〜200mgを処方します。処方の理由によって上限が違うのでご注意ください。また、ベタナミンは、特発性過眠症の効果・効能は承認されていません。承認されているのは「ナルコレプシーの近縁傾眠疾患」ですが、特発性過眠症がそれに該当するともしないとも明言されていません。後述のモディオダールのように適応症が限定されていないので、比較的、処方の自由度があるともいえます。

モディオダールの適応症は、①ナルコレプシー、②特発性過眠症、③閉塞性睡眠時無呼吸症候群、の三つに限定されています。いずれも適用にあたっては、眠気の原因となる他の疾患との鑑別診断を行うこと、MSLT等の客観的検査で確認すること、等が注意されています。

規制区分について

リタリン、ベタナミン、モディオダールは、全て処方箋医薬品であり、向精神薬に指定されています。処方箋医薬品とは、 医師の処方箋に基づかなければ患者に授与できない医薬品のことです。向精神薬は、その乱用の危険性と治療上の有用性により、第1種、第2種、 第3種に分類されています。ベタナミンは第3種、リタリンとモディオダールは第1種かつ劇薬に指定されています。いずれも、処方1回につき30日分までが限度と規定されています。これは、処方量の上限ではなく、投薬期間の上限であることに注意が必要です。

向精神薬の処方日数制限の解釈

医師が処方する投薬量については、予見することができる必要期間に従ったものでなければなりません。30日を超えるのは長期の投薬に当たります。原則、30日以内に再診を行う必要があります。

診療の具体的方針(投薬)第20条の2

投薬日数は、医学的に予見することができる必要期間に従ったもの、又は症状の経過に応じたものでなければならない。(中略)

投与期間に上限が設けられている医薬品は、厚生労働大臣が定めるものごとに1回14日分、30日分又は90日分を限度とされている

保険医療機関及び保険医療養担当規則

たとえば、仕事中症状を抑える目的で服薬しており、仕事が休みの日は服薬しない、という服用スタイルの患者さんの例を挙げます。会社の営業日はカレンダー通りとします。この場合、1回の処方量を「1日分×30で30日分」とするのは誤りです。基本的に、平日5日服用・週末2日休みのパターンなのに、30日分のお薬を渡したら、投薬期間42日分に相当してしまいます。投薬期間30日間のうち、休薬日を除く服薬日は、22回あります。つまり、このケースでは、投薬期間30日分に相当する適切な処方量は、22日分が正となります。

もし月一通院のたびに1ヶ月分として30日分を渡し続けたら、毎月約10日分が余り、年間で100日分近く残薬が出てしまいます。

もちろん、毎日お薬を飲む必要がある患者さんにとっては、投薬期間30日分に相当する処方量は30日分になります。また、ひと月の日数は28〜31日と幅があります。曜日のズレ、祝日の有無、年末年始やゴールデンウィーク等の連休、処方箋の使用期間(交付日を含めて4日以内)による誤差も生じます。投薬期間30日の起算日は特に定められていません。だいたい30日周期での再診となるよう、医師の裁量で調整してください。

月に一度の定期通院は避けられない

向精神薬である内服薬については、投薬期間の上限を、 14日・30日・ 90日のいずれかに規定しています。向精神薬のうち、睡眠障害等に対し処方する頻度の高いものについては、上限を30日としています。この処方日数制限について、疾患によっては投薬のための通院が負担となる場合もありますが、現状、覚醒薬の処方を受ける過眠症患者は原則、月に一度の再診が必要であり、例外はありません。定期通院のスケジュールを「毎月第◯曜日」と決めておくと良いでしょう。

リタリン
ritalin
ベタナミン
betanamin
モディオダール
modiodal
適応症ナルコレプシー①軽症うつ病、抑うつ神経症
②ナルコレプシー、ナルコレプシーの近縁傾眠疾患
①ナルコレプシー
②特発性過眠症
CPAP療法等による気道閉塞に対する治療を実施中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群
薬価6.3円/錠(10mg)07.70円/錠(10mg)
16.30円/錠(25mg)
35.10円/錠(50mg)
316.10円/錠(100mg)
製造会社ノバルティスファーマ三和化学研究所アルフレッサファーマ
規制区分劇薬
第一種向精神薬
処方箋医薬品
第三種向精神薬
処方箋医薬品
劇薬
第一種向精神薬
処方箋医薬品
有効期間3年3年5年
用法1~2回に分割①朝食後
②朝食後、昼食後の2回
用量成人20〜60mg/日①成人10〜30mg/日
②成人20〜200mg/日
成人200~300mg/日
効果時間ピーク:投与後約2h
半減期:4-6h
消失:約7時間
ピーク:不明
半減期:8-10h
消失:約12時間
ピーク:投与後1.9-3.0h
半減期:9.9-14.8h
消失:約15時間
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※夕刻以後の服用は原則として避けること
リタリン、モディオダールは劇薬と書いてありますが、飲んだら死ぬのですか?

薬事法に基づき、厚生労働大臣が指定する毒性が強い医薬品を「毒薬」、劇性が強い医薬品を「劇薬」といいます。

毒薬・劇薬は、薬用量(薬効が期待される摂取量)と、中毒量(中毒のおそれがある摂取量)が接近しており、安全域が狭いため、その取扱いに注意を要するものとして、他の医薬品と区別されています。

覚醒薬はドラッグストアで買えますか?

リタリン、ベタナミン、モディオダール共に処方箋医薬品に指定されており、市販されていません。処方箋医薬品とは、医療用医薬品のうち、医師の処方箋に基づかなければ患者に授与できない医薬品のことです。

向精神薬を処方するということは、過眠症は精神疾患なのですか?

ICD-10では、過眠症は神経疾患に分類されています。向精神薬とは、中枢神経系に作用し、精神機能に影響する薬物の総称です。

向精神薬は、その乱用の危険性と治療上の有用性により、第1種向精神薬、第2種向精神薬、 第3種向精神薬の3種類に分類されています。

参考URL:

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000014658.pdf

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/06/dl/s0626-11a-t_0003.pdf

https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/shinsei/shido_kansa/000342349.pdf

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